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第44回鑑賞会 三遊亭竜楽独演会 内幸町ホール 平成26年3月6日(木)
           「蒟蒻問答」、「百年目」         参加;11名

 永年親しまれた40年会観劇会、お蔭さまで格上げになり鑑賞会となりました。
対象も広がって今回はがらりと趣向を変え落語を鑑賞。語るは中央大学法学
部卒業(昭和54年)の真打三遊亭竜楽師匠、7ケ国語を駆使してインターナシ
ョナルに落語を語る超国際派であり、今もっとも期待される実力派。
演題は「こんにゃく問答」、「百年目」軽妙な語り口は至芸、しんみり聞かせなが
ら笑わせる、人情の機微に触れ何か心にに残る。これが落語の心髄でしょう。
ゲスト出演のチャーリーカンパニーのお二人のコント、きわどい政治風刺の連発、
TV出演は無理と思われるきわどさに観客は爆笑のうず。
 終演後は出演の師匠の方々と支援者、我々とで会場近くの新橋ライオンで打
ち上げ。いつもの仲間内の懇親会とまた違った楽しさを味わえ又次の機会にこ
んな催しがあればと思いました。
                          古谷 泰久 

下記は古谷さんからの資料&写真





三遊亭竜楽独演会 新井 嘉昭  (白門40年会会報第22号より転載)

□ にわか住職になった蒟蒻屋の主・六兵衛が旅僧に禅問答をしかけられ、口も
きけず耳も聞こえないふりをしていると、旅僧は無言の行ととり違え身振り手振り
を禅問答の「解」と誤解し、敬服して逃げ返るという「蒟蒻問答」から、昨年3月6日
の三遊亭竜楽独演会は始まった。問答がかみ合わないところを面白く演じていた。
私は前日(3月5日)から京都に出かけ、前夜、新宮川町の割烹「きたむら」で仲間
と会食をし、当日(3月6日)朝から修学院離宮を見学した。新幹線に飛び乗り18:
45開演のこの独演会の会場「内幸町ホール」に、開演5分前に到着した。

□ 京都に残っている仲間を振り切って、この独演会に参加したのは、竜楽師匠
が昭和54年に母校法学部を卒業した白門仲間で、一度師匠の噺(はなし)を聞い
てみたかったからだ。白門40年会の鑑賞会は、前田紘子さんのお世話で、観劇、
歌舞伎、能、狂言、コンサート、人形浄瑠璃と多彩になって来たが、ついに落語
鑑賞にまで広がって来た。前田さんに感謝!

□ 私は高校生のころから落語が好きで、よくラジオで聞いていた。司法試験の
勉強に疲れると(というより嫌になると)、よく真法会研究室を1人でそっと抜け出し、
新宿の末広亭などに出かけていた。その後寄席の噺では飽き足らず、ホール落
語でじっくり聞くようになった。ホール落語に最も適していた噺家が6代目三遊亭
円生で、円生の孫弟子が竜楽師匠だ。昭和53年「落語協会」(当時柳家小さ
ん会長)で、大量の真打ち昇進があり、これに抗議して円生はじめ三遊一門は
同協会を脱会し、「落語三遊協会」を結成した。しかし円生は翌54年亡くなった
が、弟子の5代目円楽をはじめ三遊一門は、既存の寄席に出られず、現在でも
苦労しているのはご承知のとおりだ。

□ その6代目円生の郭(くるわ)噺や人情噺は絶品だった。今日の二席目の「百
年目」は、6代目円生が得意としていた演し物だ。竜楽師匠の語り口は、円生を
髣髴させる。大店を預かる一番番頭は、店では堅物で通っているものの、実は
外では大変な遊び人で、ある日店に隠れて幇間(たいこもち)や芸者を引き連れ
て隅田堤に花見としゃれ込む。舟から上った番頭は、身を隠すため扇子で顔を
隠して、芸者を追い回す遊びを始める。芸者を捕まえたと思って扇子をとると、
そこには何と大旦那の顔。咄嗟に出た番頭の言葉が「長らくご無沙汰してます」。
もう首だろうと思っていたところ翌日呼ばれて、大旦那からきのうのセリフは何
なのかと問われ、「これが百年目と思いました」。これが「落(おち)」だ。ちょっと
むずかしい落だ。「百年目」は、悪事が露顕したときなどに「これでおしまいだ」と
いう意味だが、一方文字どおりに「久し振りに会った」という意味があり、番頭は
もうおしまいだという意味の「百年目」を、「長らくご無沙汰しています」と表現した
のだ。

□ 後日、同席者の古谷泰久君から「盲(もう)木(き)浮木(ふぼく)」という言葉の
解説文が送られて来た。私は気づかなかったが、「百年目」の噺の「まくら」とし
て、この言葉を入れたのか、古谷君はちゃんと聞いていて、その説明文を送っ
て来てくれたのだ。その解説によると、「大海で盲目の亀が海面に浮び上り、
浮木の孔に入ることがいかに困難か」を表し、「あり得ないことのたとえ」として
使われるらしい。落語「百年目」の噺に恰好の「まくら」だ。「盲亀浮木に会う」な
どと使われるらしい。

□ 竜楽師匠は数々の賞を受けているが、日本文化外交として高く評価されて
いるのが、海外で字幕なし通訳なしの落語、つまり現地語による公演だ。英語・
イタリア語・フランス語・スペイン語・ポルトガル語・ドイツ語で、今までに7か国30
都市で約100公演を行っている。WOWOWの番組がヨーロッパ公演に密着取材
した「世界よ、これが日本の落語だ!三遊亭竜楽・ヨーロッパ落語道中」のタイト
ルで放映されたそうだ。


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