2021年箱根駅伝
往路優勝の創価大監督は
中大OB

花房 英夫
箱根駅伝応援 近況報告・エッセー一覧
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   青年像のモデル、陸上部OB会
   長谷正治元幹事長(右)とともに
本年で97回を刻む箱根駅伝(1月2、3日開催)で、「往路優勝」と話題を集めた創価大学の榎木和貴監督(47)は中央大学<花の駅伝部>OBです。現役時代は毎年箱根を走り、4年連続区間賞に輝いた“ミスター箱根”と謳われた名選手です。

創価大学は今年、開学50年を迎え4回目の出場で往路優勝。復路トップで快走し、ゴール直前で駒大に歴史的逆転を許すも、堂々総合2位の栄冠を勝ち取り、新たな旋風を巻き起こした。

2日往路トップで創価・三上選手が芦ノ湖のテープを切った直後、私の携帯電話が鳴った。中大陸上部OB会の長谷正治元幹事長からでした。「おめでとう!(中大は残念だったが)榎木監督は中央大OBだよ」と。東京国際大学の大志田秀次監督も4区で区間賞の記録を持つ中大OB。

箱根駅伝には、いわゆる<0区>がある。出場しないが、裏方で選手をサポートする記録係、中継で補給水ボトルを担当する役員。創価の鈴木主将(4年)は最終選考で外れサポート役に徹した。大手町のゴールに脱水症状でも最後まで走り抜いた小野寺選手を抱きかかえ「ありがとう!君のお陰で総合2位の主将になれた」と感謝を込めて称賛の言葉で迎えた姿に、爽やかな感動が広がった。

そして10区を走り抜いた選手が卒業後に活躍する区間は<11区>とでも名付けられる。赤字の「C」を胸に秘め、それぞれの立場で襷を繋いで活躍されているのが、榎木監督、大志田監督はじめOBの先輩方ではないでしょうか。”箱根駅伝といえば中大”と言われた常勝校で、本年も箱根路を走った駅伝部の選手たちの今後に大いなる期待が寄せられている。

ちなみに陸上部OBの長谷元幹事長はリレーで数々の記録を持つ短距離選手で、多摩キャンパスに設置されている「青年像」のモデル(二人とも)です。台座に「きけわだつみの像」で知られる著名な彫刻家・本郷新先生が「モデルの長谷正治君ごくろうさま 本郷新 作」と刻印されており、長谷元幹事長は毎年、ひそかに像の清掃に汗を流しておられる。

時代を開くのは青年です。コロナ禍で人と人の絆が“分断”されることが危惧される昨今、友情と信頼でつなぐ一本の<襷>に青春の全存在を託して限界に挑む若き学徒のひたむきさに、人間として忘れてならない心と心の“結合”の大切さを感じさせてくれるからこそ、箱根駅伝が愛される所以だと思う。 (創価学会元副会長)