さようなら駿河台


首都東京の"学生の街"神田とともに一世紀、ニコライ堂の鐘の音の響きわたる駿河台とともに半世紀をすごした中央大学は、一九八○年三月を最後に、想い出多いこの地を去ることになった。
遠からず姿を消すであろう駿河台校舎は、図書館、大講堂、教室、校庭、そしてなにげなくある一木に至るまで、三〇万学員一人ひとりの青春の喜びと悲しみに結びついた歴史の重みを秘めている。
そしてまた同時に、わが学舎は、地元"神田っ子"に、あるいは温かく、あるいは厳しく見守られて、その歴史を刻んでもきた。
そうした半世紀ないしは一世紀にわたる全容を、この小冊子『さようなら駿河台』で、すべてを語ることはできないではあろう。
それらの点は、関係各位の霊台方寸のカメラに鮮やかに残っている豊かな影像に重ねあわせ、これを補っていただきたい。駿河台時代の回想は、それによって完結されるものと私どもは期待している。

「さようなら駿河台」 あとがきより