荘厳な式典と
バーチャルリアリティ&寸劇に感動
―母校創立125周年記念式典に参加して―
2010.11.13

宮 田 永 生

 母校創立125周年記念式典は2010年11月13日(土)午後2時から、小春日和の穏やかな日差しに包まれた多摩校舎9号館クレセントホールで、式場を埋め尽くす、来賓、海外協定校代表者12人を含む多数の招待者、音楽研究会楽団員ら合わせて1000人余の出席のもとに荘厳な雰囲気の中で挙行された。
 第一部は、佐川聖二指揮による戴冠式行進曲「王冠」で始まり、大久保常任理事による開式の辞、久野理事長と永井総長・学長による式辞、鈴木文部科学大臣代理、白井日本私立大学連盟会長、ウィットフィールド英国ミドルテンプル代表による祝辞があり、行進曲「威風堂々」で幕を閉じた。
 第二部は、「中央大学 源流、記憶そして未来へ」と題するバーチャルリアリティ&寸劇が上演された。バーチャルリアリティとは、コンピューターを用いて人工的な場面を作り出し、あたかも自分がそこにいるかのように感じさせる「仮想現実」のことである。
 総合政策学部の黒田絵美子教授・劇作家の台本・演出によるもので、30分の短編ながらも、増島六一郎ら創立者たちが英国ミドルテンプルの門を叩いたときから、神田錦町の英吉利法律学校時代、関東大震災被災、学徒動員、50年の歴史を刻んだ駿河台時代、そして多摩移転を経て現在に至る建学の精神と校風のポイントを見事に押さえた作品であった。
 駿河台校舎中庭の掲示板の文字までも鮮明に映し出される仮想現実映像とドラマと音楽のコラボレーション。中央大学を思う人々を強烈にひきつける構成・演出で、思わず涙してしまう場面も多々あった。実社会が求める人材の養成へ情熱を注ぎつつ、家族的情味と質実剛健の校風の中で、学生・卒業生とともに母校愛に燃えて幾多の困難を克服してきた先人たちの不撓不屈の精神を継承すれば、いかに厳しい環境下にあっても中央大学は必ず発展するという強いメッセージでもあった。
 寸劇には、中大附属高校卒で落語家の柳家さん喬、総合政策学部四期生でミュージカル劇団Stepsに所属する宮ケ原千絵、商学部3年生の岡拓磨らが出演し、真に迫る演技を見せてくれた。
 黒田教授はリーフレットの中で、「はじめ
は漠然としていたイメージの焦点が、ピタッと定まった瞬間があった。中央大学のモットーとされる『質実剛健』と『家族的情味』という言葉の本当の中身がわかった瞬間でもあった」と述べているが、ストーリーの中に、教学や学生だけでなく、教員を大切にした理事の存在にも光を当てるなど、従来と異なる新しい視点が確かにあった。劇作家の感性の鋭さを改めて感じた次第である。
 フィナーレは、附属中学校から専門職大学院までの在校生34人が壇上に横一列に並び、将来に向かって誓いの言葉を述べ、次いで出席者全員が起立して校歌を斉唱し、2時間にわたる式典を終えた。第一部、第二部を通して司会を務めた経済学部卒で日経CNBCキャスターの曽根純恵と文学部4年生の山口真孝も大役を立派に果たした。感動の式典であった。
 式場を出ると、8号館と9号館の間の広場で、明るい日差しの下、人垣に囲まれ応援団がにぎやかに記念演技を披露していた。特設の中大グッズ売り場にも人が集まっていた。
 9号館では「学びのたから 中央大学の起源・絆・記憶」をテーマとする展示、8号館では経済学部による「湧水を中心とした多摩キャンパスの生態系保全とビオトープの確立」をテーマとするシンポジウム、図書館では125周年記念購入図書「法学百科事典コレクション」の展示など、各種125周年記念企画も実施されていた。
 9号館の展示では初めて見る興味深い史料も多数あり、また、最先端のデジタル技術を駆使したインタラクティブアート(双方向芸術)も採り入れ、様々な工夫で心地よい展示空間が演出されていた。図書館の展示では法学分野の百科事典86点の中にグーテンベルクの活版印刷技術の発明から50年しか経っていない頃に発刊された世界的に貴重な図書5点を含むということであった。
 式典の後、白門41会は5号館5401号教室に集合、次いでモノレールで立川へ移動し、午後5時過ぎから駅前の居酒屋で懇親会を開催した。長内幹事長以下24人の会員が参加したほか、三宅元常任理事も飛び入り参加し、忘年会や駅伝・新年会の話題を含め、わいわいとにぎやかに母校創立125周年を祝った。