コロナウィルス禍の中で何とか
頑張ってやっています

国際建設工事分野の契約法務に取り組む

2020.8.9
星 弘 美
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 小生、今も、土木系コンサルタント会社(同社は、専ら、海外事業に従事しており、主に、JICA ODAインフラ建設案件(有償・無償)の調査・設計・工事監理業務に携わっている)に、(国際)契約法務アドバイザーとして、週4日(月〜木)働いているのですが、例のコロナウイルス(仕事では、「COVID-19パンデミック」と言っている)騒ぎで、4月初めから、「テレワーク」(要は、在宅勤務)を余儀なくされており、会社へは、7月9日(木)に1回だけ行ったきり、全く行っていません。

今、国際建設工事分野では、今般の「COVID-19パンデミック」を建設工事契約上、どう扱うか(又は、どのように扱われるべきか)について、全世界で、大(?)議論になっています。と言うのは、JICA、世銀等、国際開発銀行が融資するインフラ建設案件には、英国の建設工事契約から由来した国際建設工事契約約款(「FIDIC約款」)が使われており、同約款中に「不可抗力条項」があるのですが、COVID-19パンデミックが同条項の不可抗力に該当するか否かで揉めています。当然のことながら、地震、津波、戦争、内乱といった契約書に例示されている不可抗力事由の中には、COVID-19パンデミックは入っていません。

往々にして、「不可効力」という法的概念を持たないコモンロー(英米法)圏の人々は、不可抗力ではない、と主張する傾向があります。地震、津波、戦争と言った場合と異なり、工事現場が損壊するといったことはないのだから、一部でも工事施工は出来るはずであり、全面的にストップするのは不当であるという訳です。これに対して、「不可効力」の法的概念を持っている民法(Civil Law)圏の人々は、両契約当事者の制御を超えているという考えからこれを肯定する傾向が強いです。

そんなことで、小生、英米法・民法双方の法体系を知る者として、今般のCOVID-19パンデミックに対して法的にどう対処したらよいか相談を受けるときが多く、毎日、忙しくテレワークしています。ちょっと、法律談義になってしまいました。ご容赦の程、何卒、宜しくお願い致します。(星 弘美)