前を向き、郷土再興の道を歩まねば

令和2年7月熊本豪雨

入 江 昭 雄
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令和2年7月3日(金)夜から4日(土)朝にかけて降り続いた雨が観測史上最大を更新。日本三大急流の一つに数えられる清流・球磨川は、急激な水位の上昇で「暴れ川」と化し、八代市・五木村・山江村・球磨村・人吉市・芦北町流域で氾濫。濁流となって橋や道路の崩落、住宅は床下から床上そして天井まで、それを超えて2階まで浸水し流された家屋、土砂に埋もれた家屋、JR肥薩線(復旧の道筋は全く見えず)・くまがわ鉄道の線路は曲がりくねり、農地へは土砂が流入、多くの医療機関や文化財・球磨焼酎の酒蔵・旅館・商店街・工場・高齢者施設を襲い無残にも壊滅的な被害を受けた。なおも降り続いた雨は、山鹿市・小国町など県北部にも被害を拡大させた。

甚大で且つ目を覆うばかりの過去に類例を見ない、正に未曾有の大被害となった。東北大震災が海の津波なら熊本豪雨は川の津波。あっという間に濁流が押し寄せ上記の市町村は陸の孤島となった。


氾濫した球磨川、7月4日(土)早朝撮影

球磨川は55年前の1965年7月に戦後最大の被害を出して以来の今回の規模。いつもはゆったりと流れる球磨川だが大雨が降ると表情が一変する。水かさが増して濁流となり、立木を巻き込みながらゴーゴーと音を立てて流れていく光景には身が縮む思いがするものです。

復旧に向けては、降り続いた雨の影響とコロナ禍の中でボランティアの人達が県内に限られたこともあって未だ思うに任せない状態が続いています。
そんな中、人吉高・秀岳館・鹿本商工高・・・等の高校球児が県高校野球大会の真っ只中でも「少しでも被災地の力に・・・」と土砂を取り除くボランティア活動に汗を流している姿には心を打たれました。が、堆積したゴミの山の撤去は目途が立っていません。

私が居住している熊本市は豪雨災害を免れましたが、7月3日(金)夜から4日(土)朝にかけて降り続いた雨の強烈さは、バケツをひっくり返したと言うよりも滝が流れ落ちるような音でした。もっとオーバーに言うならミサイルが降り注いでいるような轟音で屋根の瓦が割れそうな勢いでした。

熊本では今、4年前に起きた熊本地震からの復興が少しずつ進んでいます。そこに襲い掛かった熊本豪雨。再びの災禍による被害は甚大ですが、私達は前を向き、郷土再興の道を歩まねばなりません。(入江昭雄)