卒業と同時に創業の漬物屋
販売残の熟成りんご酢が健康ブームで
最近突然売れ始める

2021.3.25
横尾 昭男
近況報告・エッセー一覧
    


今年の冬は大変な災難続きでした。山形県東根市では昨年から引き続いてのコロナ禍の上に、私も初めて体験する豪雪でした。更にその上に、震度5弱と言う2月12日夜の大地震でした。更に昨年夏の豪雨災害で最上川が氾濫しました。毎年、氾濫されたらたまったものではありません。

私は漬物屋と直接農産物を加工する職業ですから、ことのほか天候の異変を感ずるのかもしれません、地球温暖化による農作物の作柄の異変は最近は特に顕著です。私たちの東根市もノーカーボンシティ宣言をしましたが、どうしても必要と感じています。

昭和41年卒業と同時に創業しました漬物屋は塩漬け中心から砂糖漬更には酢漬と逡巡しながらも継続して参りました。平成元年に磯部晶策先生の提出された磯部理念の良い食品の四条件と四原則に感動し且つ感化を受けました。原材料の厳選や製造過程の純正などの他には厚生省が認めた食品添加物を一切使用しないことを目標に掲げて精進努力しました。

昭和の時代は自分自身が沢山売ることが善い事と売り上げ至上主義でやっていました、都会の大型店などとの取引もお願いできるようになっていました。品質第一に切り替えて化学調味料を中止してしまったものですから、美味しくない、味がしない等と取引中止になりました。その結果、店舗での小売りと通信販売による商いに転換することとなりました。一方、使用する調味料は醤油は丸大豆醤油を味醂は岐阜県は白扇酒造の三年熟成の本みりんをと納得できる本物を調達できたのですが、食酢特にりんご酢の納得できる製品を探し当てることができずに、ついにりんご酢を自家醸造することにしました。ところが、りんご酢を造るには酒造免許を税務署から受ける必要があります。その要件に最低量が6000リットル/年間とありました。

当店では半分程度があれば充分でしたが、残り半分は品質の良いものなら売れるだろう、とりんご酢造りに取り組みました。しかし簡単にはゆかず毎年販売残がでてしまい、その残が3年5年10年となってしまいました。思い切り「三年熟成」「10年熟成」と表示して販売しましたところ、好都合に折からの健康ブームで突然に売れ始め、現在は品切れ、順番待ちになってしまっています。本当にありがたいことです。
                     (経済学部19組 剣道部 横尾昭男)