大田澄子さんを偲ぶ

2021.9.3
小 森 輝 於
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 この8月31日昼前、宮田幹事長から太田澄子さんが前日亡くなったという電話をもらいました。呆然自失 身内の一人を失ってしまったようなショックをうけました。会社の窓の外 豪雨直前の雨雲をしばらくみつめていました。

 思えば、平成12年9月 芝居を見る会の初めての文楽「仮名手本忠臣蔵」を観たときに太田さんから文学部のある教授の話で国立劇場の文楽研修生になった卒業生がいるとのこと、さっそくいろいろ話を聞いて豊竹靖太夫さんということがわかりました。東京の文楽公演があるつど楽屋訪問などをして激励をつづけてきましたが、41会の皆さんにもご紹介したいと思い、平成21年暮れの四谷荒木町での忘年会に靖太夫さんをお招きしました。

          2020.2.8 国立劇場楽屋裏見学後の記念写真
       文楽・豊竹靖太夫(後列中央)、太田澄子さん(前列右から3人目)

 当日は本人の公演の都合で午後9時過ぎとなってしまいましたが当時の幹事長長内教授ご夫妻や41会幹部のみなさんが気持ちよくお待ちいただきました。みな太田さんのお世話で出来たことでその後の楽屋訪問などの行事もみな太田さんが窓口を担当していただいて楽しい思い出をつくるができました。昨年暮れのご本人からのメールでも靖太夫さんが出世し将来は人間国宝となることが楽しみだと書いてありました。これは夢ではなくて先年引退した住大夫さんの相三味線野澤錦糸さんの厳しい指導でメキメキ力をつけており、いまや中堅太夫になっております。

 コロナの影響で芝居をみる会も開催できないまま休会となっており、太田さんも少なからず気にかけていただいておりました。毎回20枚ほど予約のうち本人を含めて5〜6枚を引受けて頂き会の運営に大きく貢献して頂きました。令和2年2月8日の文楽2月公演が最後の芝居になってしまいました。その時の楽屋裏での集合写真には中心に明るく楽しそうに笑っている太田さんが写っています。

 お礼を申し上げる間もなくお別れするとは思いもよらないことでご本人のご冥福をお祈り申し上げます。
                (令和3年9月3日 芝居を観る会 小森輝於)