輪島の朝市
先日機会があって石川県の輪島市に行った。ここは有名な朝市があり、新鮮な魚、野菜類を始めとし、多くの日常の食材が露店に並んでいた。来る前からここで干物を買おうと思っていたので、とある一店からのどぐろ、鯛、アジ、さば、フグ等を適当に詰め合わせ送ってもらった。後日帰宅後早速食してみたが、何とこれが「旨い」。恥ずかしながら干物がこんなにおいしいものだとはこの歳になるまで知らなかった。お裾分けした息子も同様の話であった。大事に何回にも分け食べ終わってから店主にお礼の電話を入れたら大変喜ばれた。何だか清々しい気分になった。
実は輪島でもう一つ購入したものがある。それは「塩」であった。ここは昔ながらの塩田製法で作っている塩があり、その中でもネットで評価の高いものを購入した。輪島には多くの露店、常設展があるがここのメーカーのものは2軒しかなかった。塩分控えめの食生活にあって決してほめられた調味料ではないがこれも「旨い」。一番美味しい食べ方は浅漬けと塩おむすびだと言うことでさっそくおむすびにして食したが実に「旨い」。それから昼食はもっぱらこれにしているが飽きない。毎日でも良い。
ある日いつものおむすびと思いこれを食したがこれがさほどでも無い。女房殿に聞いたらこの時は炊いたご飯が無く、レトルトのごはんで作ったとの事、なるほど程旨かったのは米との相乗効果があった事がわかった。我が家は越後の農家から取り寄せたものを常食としているので、それに慣れているから「旨かった」のだと妙に納得する。世の中には「旨い」とされるものが沢山あるが身近にも味わえるものがあるものだ。
そう言えばその前の旅行で和歌山県のある海岸で買った「わかめ」、これも旨かった。これを食したら今までのわかめは何だったのか?そう思った次第である。残念ながらその後そのような「わかめ」には二度と遭遇出来ていない。たかが干物、塩、わかめと言えど自身の今までの「食」の至らなさを痛感するものですが、普通の生活をしていればこんなものでしょうと思った。ただ「塩」だけはまだ相当あるので、これからも越後米の塩おむすびはしばらく食べられよう!それにしてもいろいろなものを観たり、聞いたり、味わったり、旅はいいものだ。 (東京・台東区 土田和正)
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