第9回定時総会講演会
東京都副知事 青山倫氏講演要旨
『石原都政の2年間』
2001.6.9
上野精養軒
(「白門41会だより」第22号より)
トピックス総目次

 この2年間の石原都政を考えると、最初の1年と次の1年ではかなり様相が違うということに気づかれると思う。最初の1年は大手銀行に対する外形標準課税とか、黒煙をまきちらして走る大型ジーゼルトラック等に対する規制とか、どちらかというとアドホックに具体的な政策を打ち出すことが多かった。そして2年目には首都圏メガロポリス構想や今回の1兆円プロジェクトなどの大都市政策に本格的に取り組んでいる。これが2年目の特徴といえると思う。これは意識的にそうしたわけではなく、最初は知事もかなり飛ばしていた。たとえば中小企業のジャンクボイド、それから債券市場と多少ニュアンスは変わったが、直接金融の道を開くということで、ベンチャーを育てるということもある。そういう公約を実現の端緒につけるというのが1年目だった。2年目の特徴としては東京都知事になって、国政を扱っていた25年に比べて、また、現場でいろいろわかってくるということもあって、大都市政策に本格的に取り組んだことである。
 もう3年目に入り折り返しを過ぎているが、本格的に取り組みだした大都市政策をどう実現するかが問われており、まさに身を引き締めている。

 大都市政策の中ではやはり、羽田空港の国際化とか4本目の滑走路を作るという羽田空港の再拡張計画、あるいは横田の米軍基地に民間航空機を利用する問題。それから蒲田の28の踏切を解消することを含む道路渋滞解消の問題。このように空港や道路の問題に取り組んでいく、これが大都市政策の一つの特徴である。
 これを実現するためにはお金の問題と制度しくみの問題と両方あるが、これらの大都市政策を進めていく上で、いくつかのキーワードがある。
 それは時代の変化とすでに一般的にいわれているが、一つは情報化時代、もう一つは成熟社会、この二つがキーワードとなる。情報化社会というのは要するにIT革命というが、インフォメーション・テクノロジーの問題だけでなく、むしろ知識とかひらめきとか知性とかそういう人間の知的な営利、経済的な価値をも飛躍的に高めていくのが情報化社会である。すなわち産業革命あるいは金融資本の時代から情報社会へと変わっていく。そういう情報化社会になると、インターネットで瞬時に情報を得ることができるから、人々は移動しなくなるのかというとそうではなく、全く逆である。工業化時代あるいは金融資本の時代のように都心と郊外を移動する、そういう通勤ラッシュ。大都市政策としてはそれを解消するという時代から、人々は自分の知的な面での価値を高める、あるいは情報を求めるために移動するという時代に変わってくる。したがって、現実に首都圏でも都心と郊外の通勤ラッシュよりも、都市と都市との複雑な移動というのが非常に増えている。
 皆さんも経験あると思うが、首都圏で駅の改札でカードを渡して、どこからどこに移動したかを、費用をかけて徹底的に、抽出でなく全数を調査するということを何年かやっている。最近の都心と郊外の伸び率を比べてみると、多摩から区部への移動というのはほとんど伸びていない。それに対して東京の多摩から埼玉、あるいは神奈川、千葉などへの移動の伸びが顕著に現れている。それが近年の特徴である。現実に電車の混雑率をみても、武蔵野線とか山手線、南武線など、環状方向の都市と都市を結ぶ鉄道の混雑ぶりは増しているが、中央線や常磐線など、まだ混んではいるけれども、そういう放射方向の鉄道の混雑度は低下しているという傾向がみられる。
 こういう情報化時代だから、圏央道、外環、首都高速の中央環状線、そういう環状方向の道路を整備すべしということになる。この首都圏をどうするか、これは日本国内の産業道路の整備をしていくということだ。これは別に東京のエゴということではないし、単純に公共事業として東京に道路をもってくるという話ではない。

 東京都は東西に細長い不自然な形をしているが、その行政区域には問題がないのか。むしろ日本の中での首都圏というのは、特殊な経済的な価値と位置をもっている。だから、その首都圏をどうするのかという日本国としての施策として、環状道路を整備すべしということになる。これは卑近な例をとっても、実際に都心環状線、首都高新環状線を通ってみると、決して迷惑だといっているのではないが、東北とか関西ナンバー等々地方ナンバーのトラックが非常に多い。東北から関西へ抜けるのに高速道路を利用すると、わずか15kmの都心環状線を通る以外に方法がない。だから圏央道、外環、首都高中央環状線を整備するというのは、東京のエゴということではなく、全国のトラックが助かるということになる。都心環状線の15kmというのは首都高速道路270kmのわずか5%にしかすぎない。その5%の道路を首都高速道路を走る車の50%以上が必ず利用しているという皮肉な構図になっている。これは都心環状線が悪いのではなく、もともと首都高速道路は
昭和39年、東京オリンピックのために作られた。当時の羽田国際空港から代々木の選手村とか競技場に行くために作った道路なので、都心環状線から枝分かれして途中で下りていた。
 東京オリンピック後、日本国がやったのが日本列島改造だった。特に地方空港と新幹線と高速道路を作った。最も早く完成しつつあるのが全国の高速道路網で、東名も中央高速も関越も常磐道もみんな東京に進出した。そこで首都高速道路も、都心環状線から次々と高速道路を迎えにいった。4号線が中央高速道路、3号線が東名高速道路を迎えにいったが、東名の高規格の道路が3車線でやってきても、首都高速道路は車線の幅が狭い2車線になってしまうので、混むのは当然だ。そこで、毎朝ラジオで都心環状線は何キロ渋滞していると聞くことになる。私ども東京都が今言っている、3環状道路を完成させるというのは、決して東京都という地域で考えるのではなくて、日本列島の移動の問題で考えている。日本列島というのは、ヨーロッパやアメリカの大都市政策が通用しない構図になっている。まず大小無数の島からなっており、しかも山が海に迫っている。ヨーロッパ大陸やアメリカ大陸は山が3割、平地が7割で平地が主流を占めているのに、日本列島は逆に山が7割で平地が3割しかない。大陸のように平野らしい平野は太平洋ベルト地帯しかないというのが、日本列島の特徴だ。したがって日本という国土はもともと構造上、アメリカやヨーロッパよりも移動手段の確保ということが非常に重要なウェイトを占めている。
 情報化時代で、人々が自分の知的レベルを高めたり知的な情報を得ることによって、あるいはそれを結合することによってビジネスとしようとする。そのために移動が盛んになる。しかもそれはグローバルに利用しなければならないという時代には、移動手段は日本の国土にとってはなおさら重要になる。その意味においては、日本列島改造論のうちの交通ネットワーク論の部分は非常に良い着眼点だったといえる。私は今こそ、その重要な部分を完成させるべきだと考える。これに関して道路の部分だけを言ったが、空港の問題も同様だ。

 首都圏、関東平野には3,300万人の人口がいる。ここに国際線の滑走路は今、1本しかないが、ニューヨークにはケネディ国際空港に9本の滑走路がある。年間2,000万人が利用し、年間の離着陸回数は104万回。日本は羽田が今はまだ25万回、成田が12万回、合わせて37万回しか離発着していない。横田が1万回だが、これは使わせてもらっていない。ニューヨークの104万回と比べて日本の状況ははるかに劣っている。アジアの各都市ではソウルにしてもクアラルンプールにしても上海にしても大空港の整備をしている。やはり、情報化時代で移動手段は非常に重要であると認識している。滑走路が9本あるニューヨークでも、空港に対するアクセスの状況は最近ばたばたと変わっている。ケネディ空港には車で行っていたけれど、地下鉄が直接乗り入れるという事業がすでに始まっている。地下鉄の高架も去年のニューヨーク市の予算で通っている。やはり、情報化時代に人々の移動が高まっていくということに着眼している。
 一方、東京都では、成田の暫定滑走路がまもなくできるけれども、それでも困難だ。だから、現に横田に4,000mの滑走路があるのだから、これを使ったらどうかと提案している。横田は1万回しか飛んでいない。これには騒音被害の問題がある。たしかに横田は市街地だけれども都心から40kmのところにある。パリのドゴール空港は都心から24kmだが24時間使われている。成田は都心から60kmだが午後11時から午前7時までは飛べない。それに対してなぜ都心から24kmのドゴール空港が24時間使われているのか。民間の航空機は低騒音化にすごく努力しているからだ。横田にとっても、NLT訓練でジェット戦闘機が低空で飛ぶということに比べて、全体として騒音公害がはるかに低減されると考えている。
 日本が立ち直っていくには、そういう情報化時代に備えたきちんとした社会資本整備を首都圏も行っていかなければならない。四国に橋を3本架けるのに3兆円かけたが、羽田空港にもう1本滑走路を作るのに8,000億円でできる。巨大空港を作るためにはアクセスの問題があり、鉄道やトンネルを作るのにさらに何兆円もかかる。しかし羽田空港の場合には非常に充実しているから、今あるアクセスをそのまま使える。京浜急行も空港ターミナルビルに通じているし、モノレールもできている。アクセス道路もちょっと大回りしているが、環八からまっすぐターミナルに入るトンネルができている。東側ターミナルビルが完成すれば、これが使える。だから、羽田空港にもう1本滑走路を作る。これが当面いちばん安上がりになる。
 今、情報化時代で全国に地方空港を作っている。山形、佐賀、長崎空港も作ったが、利用者がいなくて困っている。利用もじり貧になっていて、定期便が1日2〜3回だと時間が合わないからと、長崎のハウステンボスも福岡空港からバスで行こうということになる。長崎・山形便は定期便としてあまり成立しないが、羽田便なら成立する。だから、羽田の滑走路を増やすということは、国際化という意味だけではなく、全国の交通ネットワークという意味でも非常にいい。公共事業のあり方を考えるとき、そういう角度からも見る必要があると思う。
 つまり、道路や空港をやみくもに土建主義で作れと言っているのではなく、むしろ情報化社会に備えるということが国土の問題として必要だと言っている。そもそも戦後55年間、自民党政府が国民に対して約束を守った経済政策、国土政策がどれだけあったか。支持者として文句を言っているのだが、一つだけ守った約束がある。それは昭和35年、池田さんの所得倍増政策で、これは国民に対する約束を守った。10年間でGDP──当時はGNP──を倍増させると。これは7年間で達成した。太平洋ベルト地帯に公共事業を重点的に行うのは効率がいいと言ったが、これは全国から顰蹙をかって、いろいろ苦労した。
 公共事業には社会資本を整備する公共事業と社会政策としての公共事業の二通りがある。社会政策としての公共事業とは、たとえば東京都は三宅島とか神津島、新島などをかかえている。神津島の去年の地震で300人が孤立した地区がある。そこにトンネルを掘ると130億円かかる。100世帯以上300人がそこに住んでいる。1世帯1億円とするとちょうど130億円になる。だったら1億円ずつ配ったらいいと言う人は絶対にいない。なぜなら、これは国土保全の問題だから。国土維持の問題で、そこに住んでいる人たちのためだけではない。国土を保全することによって、その人たちが住むことができる。そしてそこで獲れる高価な魚は首都圏の市民の食卓にも上る。それから経済水域のことにふれておくと、東京都は47都道府県中、経済水域は第1位、そして基地面積も多い。基地面積に関していえば、沖縄、神奈川も多い。一度に多くのことは話せないので、公共事業の話に戻すが、公共事業とはそういうものだ。

 地方で一挙に公共事業をなくしてしまうと、経済的に破綻する地方経済がある。そのような社会政策的公共事業と、本当に富を満たすために不可欠な公共事業の二通りがある。何十項目、何百項目と点数を入れていく評価システムというものがあるが、かえってわからなくなる。はっきりいって、その公共事業をやって富がもたらされるのか、もたらされないのかという分け方もある。それが社会資本整備としての公共事業なのか、社会政策としての公共事業なのかということだ。それで今、東京都が言っている政策というのは、首都圏に5年間か10年間集中投資したらどうかと。空港の問題では全国の空港が助かるではないか、道路の問題では全国のトラックが助かるではないか、国際競争力がつくではないかと言っている。
 日本が海外渡航を自由化したのは昭和39年だが、日本人の海外旅行は130倍に増えた。ところが海外から日本に来る人は12倍にしか増えていない。昨年1年間に日本から海外に出かけた人は1,600万人、それに対して海外から日本に来たお客さんは400万人しかいない。こういう状況で、情報化時代に日本が生き残っていけるのだろうか。
 これからの富と権力の源泉は情報であり、生産手段や金融資本ではない。情報化時代には誰しも意味がある。それに備えてきちんと効率よく社会資本を整備しておく、そう言っている。実はこれは着々とやってきていれば、いまさら改めて言うようなことではない。さきほど都市再生のための大都市政策のキーワードは情報化社会と成熟化社会の二つだといったが、実は隠れたキーワードがある。東京は、戦後処理を終わっていないことがたくさんある。その一つが横田基地の問題だ。
 横田基地は700haもある。羽田空港は1,100ha。成田空港は用地を全部買収できて1,063ha。横田で米軍が占めている700haは滑走路1本のためだけではない。それ以外の住宅も、マンションではなくて芝生のある一軒家を建てるために余計に面積が必要となっている。だから非常に広大な面積がある。そして、新宿から拝島までは電車で36分くらい、拝島から徒歩で10分くらいという地の利がある。そこでは年間1万回しか飛んでいない。羽田は25万回飛んでいる。羽田の25分の1にしかすぎない。なぜ、この横田を民間空港に使わせてはいけないのか。おかしな話だ。
 横田にはもう一つ空域の問題がある。横田空域は伊豆諸島から新潟までいっている。だから東京から関西、四国、九州、沖縄方面に行くのには、いったん海側に出て大回りするか、その上を飛ぶかになる。多少削ってもらったり、いろいろ改善はしているが、首都圏の広大な空をいまだに外国の軍隊がコントロールしているというのは、まさに異常な事態だ。おととしだったか、奥多摩で森林火災があり、ヘリコプターで行ったが、横田空域の手前で了解をとるか、いったん旋回して待っていなければならない。それが横田の実態だ。また、その前にはニアミスの問題もあった。

 これはまだ戦後処理が終わっていないということだ。空だけではない。道路もそうだ。東京の道路はマッカーサーの占領軍司令部が作らせなかった。名古屋は100m道路2本を戦後復興で作った。広島も福岡もいい道路を作った。札幌は戦後復興の前から作り、非常にいい道路ができた。
 東京も山手通りを幅80mで作るというのが、東京都の戦後復興計画だった。それは決定されていた。あのときは焼け野原だったので、80mで作っておけば、今、延々として工事をして皆さんに迷惑をかけることもなかった。今、漸く40mに拡げようという工事をしている。占領軍司令部のマッカーサーは、ばりばりの共和党員だった。共和党は敗戦国の人にそのように立派なインフラは必要ないということで、東京都の戦災復興計画、山手通りの80mは22mに削られた。今、22mを漸く40mにしているが、あのときに作ってさえいれば。戦後50年、そこで事業を営んでいた人たち、あるいは住んでいた人たちにどいていただいて、今、道路を作っている。だから時間がかかる。マッカーサーの命令で22mに削られてしまったのだから、東京都の責任ではない。あのときに首都に立派なインフラを作らせないという方針だった。それで今、40mの道路で苦労しており、都民の莫大な税金が使われている。マッカーサー司令部は評価すべきいいこともいろいろやっているが、道路に関してはひどかった。この件に関してだけは文句を言うべきだ。
 山手通りは40mに拡がっただけでも、すごくよくなる。片側2車線のままにし、停車帯を1車線設ける。今は2車線あるが、実際には駐停車があると何百メートルにもわたって1車線と同じ状況だ。車幅を拡げて新たに4mの中央分離帯を作り、両側にそれぞれ9m25cmの歩道を作る。そうすると、シャンゼリゼほどではないまでもグリーンベルトの並木道ができる。それによって、山手通りの沿線の価値がものすごく高くなる。それで道路が渋滞するかというとそうではない。2車線のままでも地下にトンネルを掘っていて、これが首都高中央環状線を作るから、結局、片側2車線でも車線はふえることになる。これはほんとに戦後処理の問題だ。はじめに80mで作っていれば、山手通りはすばらしい道路だった。
 後藤新平が80年前、関東大震災後に作った昭和通りは幅員が43mあり、まん中がグリーンベルトになっている。今度の山手通りはまん中に4mのグリーンベルトを作る。環状七号、環状八号の幹線道路は25mで、歩道は2m25cmだが、こういう道路は25mで作るべきではなかった。80年前の昭和通りは43mで作り、永代通りは36mで作っている。晴海通りは30mのところと33mのところがある。靖国通りだって30mと36mのところがあるのに、私たちは環七、環八を25mで作ってしまった。これは無理だと、我々がはっきり認める。たしかに環七、環八は公害道路だ。だから、外郭環状線は高架ではなく、きちんと地下にしていい道路を作る。山手通りも拡げるけれども、車線を増やさず停車帯を増やすだけにして、歩道は9m25cmにする。そういう計画にする。道路とはこういうふうに作らなければならない。だから山手通りは完成する。外環ははっきりいって作らせてもらう。圏央道は裏高尾で妨害運動があるが、土地収用法が今国会で成立したら、現金書留郵便を使うなどして支払いが半年で済むようにしたい。
 環七、環八の公害道路は車線を増やして歩道2mも無理だ。25m道路などは実質片側1車線道路だ。だが、圏央道ができた暁には、あれだけのトラックが通らないようにできる。首都高中央環状線も外環道路ができれば、今のような渋滞はなくなる。昔は、道路ができると環境が悪くなるといわれていたが、今はそうではない。圏央道の埼玉県部分ができたときに平行する国道16号線、407号線で1日あたり4,500台の車が減った。そして外環の埼玉県部分ができて、関越道と東北道が往来できることによって関越の練馬で下りる車が何と1日あたり15,000台減った。
 
 さきほど成熟社会というキーワードを言ったが、成熟社会で人口は増えない。車の保有台数も増えない。だから、昔は道路を作れば車が渋滞すると言ったが、今は違う。渋滞のボトムネックになっているところを解消すれば環境がよくなる。そういう時代だ。今、都内は時速15kmでしか走れない。箱根駅伝の時速は18km。私たちは時速30kmで走られる体制にする。そうなると、SO2 もSOXもNOXもCOもCO2 も今の4分の1に減る。当然、車の滞留時間も減る。正月やお盆休みには車が5%減るだけなのに、あれだけ空いた感じになる。なぜかというと、1時間かかるところが15分で行ってしまうから、それだけで空いてしまう。車の走行台数が4分の1に減る。だから、もちろんジーゼル規制もしっかりやるが、基本的には未完成のぶつぶつに切れている道路をきちんとつなげる。そうやって車の渋滞時間を減らすということをやっていかないと、環境はよくならない。対症療法だけでなく、根治療法も必要だ。

 時間の関係で一部しか説明できなかったが、私たちの言っている都市再生とはそういう意味で言っているわけで、決して東京エゴとか、地方と東京の税金ぶん取り合戦ではない。日本がどうやれば国際社会に向けて立ち直って、生き残って富を生み出せるか。そのことによって、次の世代に私たちの年金を払うための富を稼ぎだしてもらう。そういう時代を求めて言っているので、福祉か道路かという選択のしかたはやめてもらいたい。
 むしろ福祉の財源となる富をどうやって稼ぎだすか、そういう国土構造にして、どうすれば皆さんの経済活動がスムーズにできるのか。そういう日本をつくっていきたいと東京都は主張しているので、ぜひ応援をお願いしたいと思う。