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☆わが町散策 「顕微鏡会社訪問&小江戸・川越」
           平成24年6月27日(水) 参加;23名

今回のわが町散策は、小江戸と言われ当時の江戸文化の匂を遺す川越です。その前に我が
白門40年会の常任幹事の千野明美さんが役員をしている顕微鏡会社を訪問しました。
今回は川口愼一(法)さん、千野明美(文)さん、西山勝凱事務局長にお世話いただきました。

〈顕微鏡会社訪問〉(17名)
 開 催 日     平成24年6月27日(水)
 乗  車      東武東上線池袋駅 準急川越市駅行き9:37発(1号車)
 下  車     みずほ台駅10:03着
           タクシーにて「メイジテクノ株式会社」へ(相乗り)(710円)
 見  学     10:15〜11:35
           (設計・製造・販売・メンテナンス現場見学&試視)
 乗  車     みずほ台駅 準急11:55発   川越市駅12:11着(昼食)
 ◎ メイジテクノ株式会社(埼玉県入間郡美芳町竹間沢322-1)は、メイジ
   教育図書出版会社に関連して起業した会社で、各種用途の顕微鏡
   (年間6,000台の出荷。国内20%・輸出80%)の製造・販売会社です。

〈わが町散策〉(21名)
 ◎ 集  合    13:00 西武新宿線 本川越駅改札出口前
 ◎ コ ー ス    喜多院・大正ロマン通り・蔵造りの街道・時の鐘・菓子屋横丁など
 ◎ 懇 親 会   老舗うなぎ料亭「小川菊」17:00頃開始
 ◎ 会  費   5,000円(入館料・案内料・懇親会費)

写真はクリックすると拡大します。下の写真以外容量低減のため削除しました。




撮影;新井孚

「わが町小江戸川越」の紀行文が大泉清さんから寄せられました。(H24/08/15)
大泉清の紀行文
平成24年6月27日(水)

小江戸・川越を歩き、蔵造りの町並みで江戸情緒を満喫
――顕微鏡会社訪問とわが町散策――
   (法学部法律学科卒 大泉 清)


第@章 顕微鏡会社でミクロの世界を体験。日本のモノ作りの原点を見た想いに

 平成11年、山梨県の勝沼・昇仙峡から始まった「わが町散策」も今回で記念の10回目。
今年は蔵造りの町並みが残り、江戸情緒あふれる「小江戸・川越」を歩くことにな った。
NHKの朝の連続テレビ小説「つばさ」(平成21年)の舞台となり、最近では故地井武男の
「ちい散歩」(テレビ朝日)でも紹介されていたから記憶している人も多 いだろう。
また、この町は江戸の面影だけでなく“スイーツの町”としても評判で、女性週刊誌やテレビ
のワイドショーで何回となく取り上げられている。このため中年の“ 歴女”(歴史好きの女性)
だけでなく若い女性やカップルに人気が高く、年間の観光客はなんと600万人。お祭りや
土・日はこうした観光客で賑わい、ゆっくり歩けないほ どの人ごみになる。そこで、あえて
ウイークデーの水曜日にした。

 6月27日、梅雨の谷間とでもいうべきか、朝から汗ばむような晴天になった。東武東上線
池袋駅発9:37分の川越市駅行きの準急に乗り、みずほ台駅に10:03分到着。ここから
タクシーに分乗してメイジテクノ(株)へ向かう。この会社は顕微鏡専門メーカーで、設計から
製造・販売まで一貫して日本国内で行っている国内有数の会社。

医学用としては慶応大学や東京女子医大、防衛医大、地元・埼玉の埼玉医大などの脳神
経科や整形外科などに納入している。また、実体顕微鏡や偏光顕微鏡などは生物分野や
理工分野でも高品質として評価が高く“ミクロの世界”では超有名な会社である。昨年はテ
レビ朝日の刑事ドラマ「臨場」、今年はTBSの日曜ドラマでSMAPの中居正広 が主演した
「ATARU」に自社製品の顕微鏡を貸し出した実績もある。

 みずほ台駅からタクシーで約5分、玄関前で40年会常任幹事の千野明美さんが出迎えて
くれた。彼女はこの会社の取締役で主に海外との取引や営業を担当している。文学 部英文
科卒。「中大で英語を学んだのが役立っています」と語るように、ビジネス英語は堪能だそうだ。

 会社前で記念撮影をした後で社内へ。1階の入り口を入ると、ツーンとしたアンモニア臭が
漂う。消毒用の薬品から出る臭いとのことだ。洗浄工程を見学した後で2階に。 ここでは顕
微鏡の各部品の組み立て工程を説明してもらった。ピントを合わせるためのコンデンサー
(絞り)の調製や明るさを調整するLED基盤の取り付けなど、すべて手 作業である。
顕微鏡会社を見学するのは初めてだが、日本のモノ作りの現場を見る想いである。

 工場見学の後は会議室に移って、佐藤善祐社長(80歳)から会社の方針と種類の多い顕
微鏡についての説明を受けた。千野さんのご主人である。「若い時は販売だけをし ていたが、
どうしても自分の手で(顕微鏡を)作りたかった。それで1975年(昭和50年)に会社を興した。
自分の手で作り、国内や外国で売るのが夢だった。今ではロ シアやイランなどからの注文や
見学者もあり、嬉しいかぎりです。ライバルは大手のニコンとオリンパスですよ」と語るが、80
歳にして姿勢も良く、かくしゃくとしている 。モノ作りにかける意欲はこの歳になっても強い。や
はり、こうした中小企業の社長たちの熱意が日本のモノ作りの現場を支えている、との実感が
ひしひしとしてきた。

 普段の生活では接することのない実体顕微鏡、金属顕微鏡や偏光顕微鏡も試視させてもら
った。ステージに乗った宝石や植物、岩石などの表面が2つのレンズ(対物レンズ と接眼レン
ズ)を通してカラーでくっきりと浮かび上がってくる。まさに「ミクロの世界」を体験できた。70歳
にして(失礼!)年商12億円、従業員約70名の会社を引 っ張る千野さんに、同期の仲間とし
て拍手を送りたい。

第A章 まず喜多院を見て、菓子屋横丁へ。一瞬だが、昭和へ思いを馳せる

 各自が昼食を終えた後、午後1時に西武新宿線の本川越駅改札出口に集合。ここで、小江
戸・川越を案内してくれる40年会会員の川口愼一君と合流した。川口君は近く の所沢在住で、
西武鉄道グループに長く務めていたことから川越について詳しい。筆者と同じ法学部法律学科
11組出身、同組の全国的なクラス会「いちいち会」の世話役存在 で、街角グルメにも探究心が
強い。案内役にはピッタリだろう。

 彼から川越の散策マップをもらい、まず、東照宮中院通りを東へ。20分ほどで仙波東照宮に
着く。日差しが強く、もうすでに汗まみれになった。ここから喜多院はすぐそばだ。喜多院は平
安時代の天長7年(830年)に創建された天台密教の関東総本山。厄除けの「川越大師」とも
呼ばれ、市民や近隣の人々の深い信仰を集めている。特に、正月3日のだるま市は有名だ。
また、徳川家ゆかりの寺としても知られ、3代将軍家光誕生の間や春日局の間が、江戸城か
ら移築されている。

 まあ、こんなことが散策マップに書かれていたが、せっかく寺の境内まで来たのだから生身の
人の説明が聞きたいなと思っていると、西山事務局長が地元のボランティアガイドである佐藤
正生さんを手配してくれていた。佐藤さんは中大39年卒で、我々の一年先輩に当たるとか。
歴史的な神社仏閣では、文字よりも地元の人の話を聴くのが楽しく、かつ面白い。

 まずは、大きな山門前でガイド役の佐藤さんの説明に聞き入る。一番面白かったのは天海
僧正(慈眼大師)の話であった。天海僧正は慶長4年(1599年)に第27代住職(座主)にな
ったが、12年後の慶長16年(1611年)、将軍徳川家康が川越を訪ねた時に家康と接見した。
比叡山を本山とする密教の関東天台座主と将軍との会見。 まさに歴史の1ページである。

この会見で家康と懇意になり、寺領は四万8千坪、石高は5百石といっきに増した。その後、
天海僧正は幕府中枢まで入り込み、宗教行政のトップとなり権勢を振るう。家康、家忠、家
光と3代の将軍をサポートし、徳川幕府の“黒衣の宰相”と言われている。
107歳まで長生きしたこの名僧(怪僧にも見えるが) には長寿歌が残っている。短気だった
家光への歌ともいうが、「気はながく務めはかたく 色うすく 食ほそうして 心ひろかれ」。ま
るでおジジが孫を諭す養生訓みたいだが、我々古希世代にも長生きの参考になりそうだ。

 次に、家光誕生の間(客殿)や春日局の間のある本堂に入る。この寺は寛永15年(1638
年)の川越大火で山門を除き堂宇は全て焼失。そこで、3代将軍家光が復興に取りかかった。
なにせ祖父である家康ゆかりの寺である。徳川の威信をかけた大規模な復興作業になった
だろう。江戸城の紅葉山別院から自分の誕生の間や乳母である春日局の間(化粧の間)を
この寺に移築した。

ガイドの佐藤さんの説明では、江戸時代の書院式造りそのままの遺構とのことだ。春日局は
あの大奥を作った女性である。映画やテレビでよく見る豪華絢爛な部屋かと思っていたが、
実際に生活した部屋は天井も低く、火鉢がポツンと置かれ質素なものだ。大奥を取り仕切っ
た伝説の女性の生き方は映画の世界とはかなり違うようだ。ここには、彼女の家系図も展示
もされており、これを見ると高貴な家の出身であることが分かる。

 いったん外に出て五百羅漢に。538体あり、江戸時代に全部そろうのに約50年かかった
そうだ。人間の喜怒哀楽を表し、それぞれ表情が違う。釈迦如来、阿弥陀如来、地蔵菩薩な
どがあるというが、筆者にはどれがどれかはっきりと分からなかった。何故か帽子をかぶった
羅漢さんもいた。何か願懸けの対象なのか?絶好のカメラスポットであり、外国の観光客も
カメラを構えていた。

 午後2時50分に喜多院を出て、わらべ歌「通りゃんせ」発祥の地である三芳野神社を経由
して川越城跡へ。江戸城でお馴染みの大田道灌の築城だが、現在は見るべきものはないと
のことで休憩タイム。時間は3時15分になっていた。常任幹事の大町成一君から自家製の
梅酒が全員に振る舞われた。2時間ほど歩き汗をかき,のども渇ききっていたので美味しい。
大町君の心配りに感謝!

 初夏の日差しが厳しい中、川越市役所を右手に見て菓子屋横丁に向かう。もろに日差しを
受けるので、6月末とはいえ暑い、暑い。3時45分に菓子屋横丁に着いた。ここ でハプニン
グが起きた。地元・川越商業卒の坂野好丕君がなんと50年振りに高校時代の級友に出会っ
たと言う。名前は長井和夫さん、この横丁で老舗「稲葉屋」の2代目になっているとのことだ。
「40年会の川越散策で長井にバッタリ会うなんて夢にも思わなかったよ。何かの引き合わ
せかね」と,坂野君も不思議そうな顔付きだった。2代目の店主からは、会員用にとして葛湯
のお土産をもらった。夜の宴席で頂いたが、老舗の味がする美味しい葛湯でしたよ。

 この菓子屋横丁は昭和初期の風情が濃く残り、今でも20数件の店が軒を連ねている。下
町風の香りが漂い、軒先で駄菓子や氷菓子を売っている店が多く、客を集める香具師の口
上も見られる。子供時代を思い返し、100円のアイスキャンディーや氷きゅうりなどを口にし
てブラブラと歩く。店先のおかみさんも、我々の軽口に嫌な顔もせず適当に答えてくれる。ノ
スタルジックなこの横丁を歩くと、昭和30年代を描いた映画「三丁目の夕日」のセットに佇ん
でいるような気分になってくる。ものの15分もあれば通り抜けられる短い横丁だが、ほんの
一瞬、昭和に思いを馳せた。

 次に川越まつり会館へ。川越祭りで使われる山車が2台展示されているというが、水曜日
は残念ながら休館。このため、会館前で小休止。川口君から、蔵造りの町並みの見どころと
お土産用の買い物処の説明を受けた。

 4時すぎから、本日のハイライトである蔵造りの町並み散策を開始。耐火建築として、川越
商人がきそって建てた蔵が今も、歴史的建造物として30棟ほど残っている。歴史を感じさせ
る重厚な玄関先、堅牢な2階建てと屋根瓦など豪商の心意気を感じさせるエリアである。まず、
市指定文化財になっている「蔵造り資料館」に入った。明治時代の煙草卸商・4代目小山文
造氏(屋号は『万文』)の住宅を資料館にしたとの説明であった。玄関に当たる店蔵から土間、
和室が続き、さらに文庫蔵(一番蔵)煙草蔵(二番蔵)奥にさらに文庫蔵(三番蔵)と連なる。
あたりの空気が冷たく感じられる。明治の蔵はやはり雰囲気に“重み”がある印象だった。

 資料館を出て見上げると、川越のランドマークである「時の鐘」が見える。寛永時代の創建
からおよそ390年、現在は4代目というが、1日に4回(朝の6時、正午、午後3時と夕方6時)
鐘の音を響かせている。この通りには電線がないので、青空を背景にした蔵がより立体的に
見えてくる。

 午後4時半も回り、そろそろ妻用のお土産を買う時間帯になった。川越といえば、やはりサト
マイモのスイーツだろう。サツマイモは別名“十三理”と呼ばれるが、これは江戸時代にこの
地で作られた「栗(9里)より(4里)うまい十三里」というキャッチコピーから来ているものだ。
川越藩の御用達だった老舗「亀屋」で芋菓子の「初雁糖袋入」(550円)と、女性店員に上
手に勧められた季節商品の「わらび餅6個入り」(500円)を買った。そろそろ5時だ。懇親
会の場所に向かう。

第B章 今も30棟の蔵が並ぶ町並み。最後は老舗のうなぎ屋で名物のうな重を

 午後5時から、大正浪漫夢通りにあるうなぎの老舗「小川菊」で夕食を兼ねた懇親会が始
まった。案内役の川口君の説明では「川越にはもう一軒有名な店があるが、地元の人は江
戸時代から続く老舗のこの店を使うね」とのことだ。古めかしい木造の2階建てで玄関を入
ると、畳20畳はあるかと思える大広間に案内された。まるで貸し切り状態である。20人以
上が参加。

 最初に生ビールで乾杯。お世話になった川口君と西山勝凱事務局長の労をねぎらった。
途中から千野明美さんも加わり、わいわいガヤガヤの散策談議。日本酒も出てきた。もうこ
うなれば、学生気分に戻る。畳の上にいるのは、50年も前の青年群像だ。看板のうな重も
脂がのって美味。今年はうなぎの値段が高くなり、なかなか食せなくなった。久しぶりに食う
うなぎは本当にうまかった。

 2時間はあっという間に過ぎ、希望者はカラオケで2次会となった。筆者も参加したが、演
歌あり、ジャズあり、ポップスありともう歌い放題。高山翼子や川島洋子さん,千野明美さんら
3人の女性とダンスのステップを踏む男性会員も現れた。皆さん、歌とダンスが上手なのに
はビックリしたね。
 プチ旅行気分を味わい、顕微鏡で奇麗なミクロの世界も見ることが出来た。うなぎもうまか
った。気分のよい一日だったな。こんな一日を演出してくれた千野さん、川口君、西山事務
局長にお礼を申し上げたい。

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