古谷一行君を偲んで


2023.1.27
大 森 紀 彦
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 昨年8月に友人である古谷一行君が亡くなったとの突然の訃報を受けました。古谷君と私は中央大学を41年に卒業した同期です。1か月前に電話で様子を話したときは、胃を全摘して大変だけど元気で頑張っていると聞いたばかりなのにびっくりしました。5年前に肺がんの手術も成功し元気に舞台にも復帰しました。
 彼とは中央大学の時に演劇を一緒にやっていた仲間です。中でも舞台公演の三好十郎作「炎の人ゴッホ」では主役のゴッホを見事に演じました。これがきっかけだったのか在学中に俳優座養成所に入り本格的に俳優の道に進みました。学生時代の同期の仲間は11人いましたが、芝居の道に進んだのは彼ひとりでした。成功してよかったなあと思います。彼はみんなを引っ張っていくというより、みんなを和ませてくれる存在で誰からも好かれました。素直で明るい性格でスポーツマンでした。エピソードとして本栖湖に合宿に行ったとき、私が溺れてしまったのを助けてもらいました。お礼も言ってなかったかな?
 社会人になってからは別々の道を歩みしたが、年に一度位は会っていました。酒は飲みませんが、ゴルフが好きでよく飛んでいました。彼の俳優の仕事もテレビに出るようになり、有名になり自慢の種でしたが、最初のうちは何となく落ち着いてみていられませんでした。年を取り演技も円熟味出てよい役者になったと誇りに思っています。彼の舞台出演は年に一度くらいでしたが、必ず案内をくれてみんあと観に行きました。観劇の後楽屋にお邪魔して写真を撮ったりしました。楽しいひと時でした。
 ちなみに私の妻も同じ仲間で一年先輩です。先日のお別れの会にもみんなと一緒に行ってきました。中央大学演劇研究会は昔部室が地下にあり、そこにたむろしていた我々はもぐらのようだということで「もぐらの会」と称していました。古谷君もその一人でした。それにしても早く逝きすぎだよ、同期11人のうち6人になってしまった。今まで一生懸命働いてきたので、どうぞゆっくり休んでください。そのうち私もそちらへ行きますが、その時は又付き合ってください。謹んでお悔やみ申し上げます。       (東京・小平市 大森 紀彦)