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第64回鑑賞会文学座公演 「越前竹人形」 原作 水上勉
 40年会では水上作品による「雁の寺」「飢餓海峡」を観てきましたが、この作品はかの文豪谷崎潤一郎
も激賞「主人公玉枝を竹の精にたとえてあるせいか、”竹取物語”の世界までが連想として浮かんでくる」
と感動させた、水上文学秀作の編です。水上戯曲を幾度も舞台化した文学座。今回は新世代の演出家
により、読売演劇賞受賞直後の舞台デザイナーと劇団四季の数々の舞台を手掛けて来た照明プランナー
の大御所を配した舞台装置も見どころの一つ。是非ご覧下さい。 
                                常任幹事 前田紘子
◎ 主  演   山本郁子・助川嘉隆
◎ 開 催 日   平成28年10月26日(水)14時開演
◎ 会  場   新宿紀伊國屋ホール(紀伊國屋書店4階)
◎ チケット代  5,400円(夫婦割引10,000円)

第64回観劇会「越前竹人形」 文学座 水上勉 作
   10月26日(木) 紀伊國屋ホール   参加;16名
越前の竹細工職人と芦原温泉の娼妓美しい玉枝との出会いと別れ、哀しくも美しいお話です。
役どころでは主演玉枝役の山本郁子、美しくも哀しい女の人生を見事に演じきったと云えましょう。喜助役
の助川嘉隆は熱演なれど一本調子のきらいあり、虐げられた影のあるイメージは出てなかった。脇はさす
が文学座、役者の層の厚さを感じました。
喜助の女性玉枝への憧憬と献身、それに応えて喜助に尽くす玉枝、そんな二人の愛、まさに恥美の世界、
泉鏡花の新派悲劇を彷彿させる。玉枝自身が美しく、哀しく演出されているがもっと女の性、業と云ったど
ろどろしたものを出しても良かったのかなとも思いました。
席は舞台から二列目臨場感があり舞台との一体感に繋がって物語の世界に引き込まれて行くようでした。
前田情報によるとカーテンコールは一回だったのは演出家の意図との事、この悲劇の余韻をカーテンコー
ルの繰り返しの押し付けで壊すより観客が余情残心の境地にしたれる、心憎い演出でした。
終了後は近くのビアホールで懇親会、例によって楽しく盛り上がりました。
            古谷泰久



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