戻るトップページへ戻る

第86回鑑賞会 「はじめてのクラシック」(#16)  参加;  名

 べートーヴェンの後継者・ブラームスのパワー全開の世界と技巧を堪能  

 先週までの雨模様の天気と違ってうだるような暑さ。赤坂サントリーホールまで行きつくのに汗だらだら、
夏本番の7月27日(水)赤坂のサントリーホールで午後2時から「はじめてのクラシック」を鑑賞した。
行動制限のないコロナ3年目の夏だが、7月中旬から爆発的感染拡大が続いており、都内での新規感染
者は1日3万人を超えていた。
入口でのアルコール消毒、検温、演奏時のマスク着用など、もう慣れっこになった感じ、2階のC列で鑑賞
したが、40年会の後列の席1列分は観客を入れていなかった。
 今年で16回目、40年会としては第2回目から鑑賞しているので、もう15年も続く人気のある公式行事だ。
 中学生・高校生のためのコンサートで、今年のテーマは「ロマン派ってなぁに?」。テーマは毎年違うが、
西洋音楽を理解するには,幕間の三枝成彰の話が役立つ。指揮は御年83歳の小林研一郎、管弦楽は
東京フィルハーモニー交響楽団。今年から永井美奈子(日本テレビの元アナ)が司会として参加した。

 ヴァイオリン・HIMARIの独奏と聴かせどころ
 最初の演奏はドイツで活躍したウェーバーの歌劇「魔弾の射手」序曲。本編で歌われるマリア(独唱曲)
の序曲で、知っている旋律がそこかしこに出てくる。どこか懐かしい曲であった。
 5分ほどのこの序曲の後はメンデルスゾーンの「ヴァイオリン協奏曲ホ短調 作品64より 第1楽章」。
メンデルソゾーンは1809年にドイツに生まれた作曲家で、ベルリオーズ(幻想狂想曲で有名なフランス
の作曲家)と並び、19世紀の前期ロマン派の代表的な作曲家である。彼の前衛的ではなく、折り目正し
く品のよい音楽は当時の人々を魅了した。
 最初はオーケストラの演奏だが、途中からHIMARIの独奏(ソロ)。小学5年生(慶應幼稚舎)で11歳、
白いドレスで登場して、弾くヴァイオリンは大人の半分で小さい。この天才少女の曲を聴くのは3回目で
ある。隣の新井嘉昭君が双眼鏡でステージを見ていたので聞くと「少し大人びてきたね」とのこと。今年
の秋からアメリカのカーティス音楽院に留学するそうだ。彼女の超絶技巧はオーケストラよりもロマンチ
ィックに聞こえた。アメリカでは敏腕のプロデュサーが付くから、きっと世界に羽ばたくだろう。

 80歳を超えた”炎のコバケン”の指揮でロマン派全盛時代の音楽を楽しむ
 20分間の休憩の後で、本日のメーンのブラームスの「協奏曲第1番ハ短調 作品68」の演奏開始。
ブラームスはドイツの作曲家でバッハ、ベートーヴェと並ぶ「3大B」としてロマン派全盛時代の正統派
うなわち”保守本流”の中心人物であった。
彼はベートーヴェンをこの上なく尊重して、べートーヴェンの9つの交響曲の「次」にあるものは何かと
常に考え続けたそうだ。
 聴いていると分かるが、構成がベートーヴェンの「交響曲第5番(運命)」に似ている。短調から始ま
り長調に転換していく流れは、尊敬する巨匠に挑戦するような響きだ。真夏の昼間にブラームスを聴
くと、何故か「明日もいい日がある」という感じになってくる。至福のひと時だった。1940年生まれの
小林研一郎の指揮も狙い通りで自由自在。隣に座っていた古谷泰久君が「いつ見ても若いな」と呟
いていた。
 演奏会終了後は午後5時から、大泉、新井(嘉)、佐々木、前田紘子、古谷、山田で近くの居酒屋
「庄や」で懇親会。正統派のクラシックを聴いたあとのビールは美味い。約1時間の歓談で終了、地
下鉄で各自帰路についたが、私は溜池から暮れなずむ赤坂の町を1時間ほど散歩。
高層ビル街に変わった赤坂の街並みをゆっくりと歩いた。記者時代に通ったクラブや小料理屋の前
を通ると、深夜まで飲んだ思い出が蘇ってきた、またロス・インディオスの「コモエスタ赤坂」を歌いた
いな。そんな気分に浸った夕方の赤坂ひとり歩きであった。(大泉 清))


戻るトップページへ戻る