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●平成25年1月2日(水)〜3日(木)
第89回箱根駅伝応援

5区箱根の山登りで棄権、タスキが途絶えた。
来年は、今秋の予選会から名門復活を期す
(駅伝終了後の40年会新年懇親会 構成・大泉清)

 テレビ中継もあり、ますます巨大化する箱根駅伝で中大に悲劇が襲った。1月2日、
箱根の山登りに挑んだ5区のランナーが、秒速20メートル近い向かい風で体温を奪
われ、低体温症と脱水症になり21・7キロの地点で途中棄権。タスキが途絶え、第8
5回大会から28年の長きに渡って守り続けたシード権が途切れてしまった。

 箱根芦ノ湖湖畔のゴール前で、往路最後のランナーを待ち続けていた40年会の会員
が2人いた。奥さん連れの山田尚範君と家族で応援に出向いた古谷泰久君である。その
古谷君が芦ノ湖ゴール前の様子を語る。「冷え込みが厳しく、おまけに強風。湖面には水
しぶきが立ち、霧も舞い上がっていた。芦ノ湖の海賊船型遊覧船も運航中止になるほど
の最悪のコンディション。待つこと2時間、トップで来たのは日体大の選手であった。
5分ほど遅れて東洋大が続き、やがて競り合いながら他校の選手が目の前を通過して
行く。じりじりしながら、中大はいつ来るのかと念じながら待ち続けたが現れない。箱根
の山で何が起こったのか分からないうちに最後尾を告げる車がやって来た。
ここで、初めて途中棄権を知った。

 明日の挽回はもうない。悔しさを誰にぶつければいいのか。その落胆ぶりは並大抵の
ものではなかった。でも、レース終了まで一糸乱れぬ演舞を続けた華の応援団(団長は
女性)の姿は感動的だったね」
 翌3日の復路はオープン参加だから記録も順位も残らない。それでも、大手町のゴー
ル近くの中大応援団前の歩道には、二重、三重の人垣ができ数多くの中大ファンが集
まっていた。一時は通行出来ないほどの混雑ぶりであった。筆者もその中の一人だった
が、中大のアンカーが目の前を走り抜けたのは18番目ぐらいだった。この往路では、8区
の永井秀篤君(2年・富山向陵高)が1時間6分10秒の好走。「幻の区間賞」という事だ。

 「来年は5区山登りを走りたい。1年から試走している。強い中大を見せたい」。自信に
満ちたその志やよしである。来年は「幻」ではない区間賞を期待いるよ。
 近くの常磐橋公園で関係者への報告会が開かれ、浦田春男駅伝監督が「責任は私に
あります」と、肩を落として語っていたが、この屈辱を果たすには、秋の予選会をトップで
通過して名門の意地を見せるしか方法がないだろう。

 報告会終了後、八重洲口のニュー・トーキョーに場所を移し、恒例の40年会新年懇親
会が開かれた。話題はもちろん、終わったばかりの箱根駅伝で参加者は8名。隣の席は
なんと40人近いグループ客で全員が嬉しそうではないか。優勝した日体大保護者会の
祝賀会という。美酒で少し顔を赤らめた女性から話を聞いた。「娘が日体大に行っています。
昨年は悔しかった(19位)ので、そのリベンジが果たせた。うちの大学にはスター選手は
いないので、全員で勝ち取った優勝です。3年生が4年生を盛り立てていた。5区の服部
翔大君(キャプテン・3年生)の走りには涙が出てきました」

 駒大、東洋、早稲田といった優勝候補に圧勝し、30年ぶり10度目の総合優勝。場が華
やいでいる。
 さて、40年会新年会に話を戻すと、出るのは残念、無念、落胆といった言葉ばかり。「中
大は日体大のように強風対策の練習はやっていたのか」「監督の選手起用ミスだ」などなど。
これでは正月らしい懇親会の記事にならない。そこで、参加者に、今年の箱根駅伝印象記
を短く書いてもらうことにした。

 まずは、小田原中継所で7区の選手を見送り、大手町まで駆けつけた萩野太郎君から。
「1月2日の応援(小田原〜箱根)の後でリタイアの報に接し、言葉も出なかった。それでも、
今朝(3日)箱根からの下りの応援に行くと、意外にも多数の中大関係者が集まっていた。
来年は90会の記念大会なので、リベンジを期して大手町に来たい。同期ならではの慰め
会と新年会になったが、来年はお隣りみたいに派手にいきたものだ」

 前述の古谷君はこう記した。「寒風吹きすさぶ中、歯を食いしばって走る他校の選手を
見送ったが、ついに中大の勇姿を見ることは出来なかった。この悔しさ、むなしさを母校の
選手は来年に生かして欲しい」
 前田紘子さんは、この駅伝終了後の懇親会は初めての参加。風邪気味でマスク姿だ。
「中大駅伝始まって以来のアクシデントに遭遇。参加を迷っていたが、そこで絶対にゴー
ル前の応援に行くことを決意。選手諸君、特に当時者君へ。転んでも唯起きちゃダメ!
君たちは滅多にない体験をしたのだから。これをバネに、これを力に、これを売りにして
これからの行く手に生かさない手はないのヨ!めげるな!」さすが元アナ、喋り口調だね。

 関紘一君と平井輝久君は短く書いた。「来年の90会記念大会は優勝を目指して、予選
会はトップ通過で」(関君)「来季の発展を希望します」(平井君)西山勝凱君の一言はユニ
ークだ。「勝負事は勝つためにある」。けだし、名言である。
 最後に佐々木幸男会長は「今年は中央大学理事会を象徴している。(駅伝も)一から出
直してください」と、書いた。

 皆、来年の活躍を祈っての激励ばかりだ。今や正月の風物詩となった箱根駅伝で中大
が活躍しないと、目出度さも半減する。テレビ観戦する全国の40年会会員も同じ気持ち
だろう。今年の屈辱をバネにして、来年はシード権獲得どころか優勝を目指して巻き返せ!
*       *
 翌4日の朝、中大の女性応援団長の特集を日本テレビが放映した。その中で、駅伝終了
後の報告会で真面目に応援している平井輝久君と西山勝凱君がバッチリ映っていたのだが、
本人たちは見損なったそうだ。


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