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鑑賞会番外編

歌舞伎、通し狂言「小春隠沖津白浪(こはるなぎおきつしらなみ) 
平成28年1月3日~27日国立劇場 番外編にて数グループに分かれて鑑賞



お話しは「胡蝶(こちょう)香合(こうごう)」の紛失をめぐる大名家のお家騒動を背景に天下の
大盗賊三人の魅力的なキャラクターが集まり、時代、世話織り交ぜ見どころ
満載の物語が展開致します。

役者も菊五郎、時蔵の熱演好演は言わずものがな、菊之助始め若手の女形
の美しさ、うっとりさせられました。
”江戸演劇の大問屋”と称せられる河竹黙阿弥の原作、何らの予備知識も又
期待感もなく何とわなしの観劇でした。しかし見終ってみると深い感動と感激
の連続、新春にふさわしい楽しい出し物でした。歌舞伎の醍醐味がいっぱい
盛り沢山に凝縮された黙阿弥の傑作です。
その魅力の第一が「問われて名乗るもおこがましいが・・・、ガキの頃より手が
長く・・・」に始まる名セリフ、名調子、聞きほれます。それと舞台の仕掛け、カ
ッパ、セリ、廻り舞台を駆使してケレンの強い立ち廻り、見ごたえがありました。
特にラストの伏見稲荷を思わせる林立する赤鳥居での立ち廻り、生の迫力を
強く感じさせて最高。映画、TVの時代劇でも使われそうな演出でした。

下座音楽も見落としてはならない魅力の一つです。劇中の場、場に時にはも
の哀しく、あるいは明るく楽し気に、又立ち廻りには激しく、強く、演奏される
下座音楽は役者の演技に深みを、盛り上げをする効果を掲げております。こ
れは歌舞伎独特の表現方法です。舞台の背景も狩野派や琳派の流れをくむ
絵が多いが墨絵風もあり演出の斬新さを感じました。
通し狂言の長丁場も引き込まれぱっなしで飽きず疲れず充分楽しめました。
                     古谷 泰久(法・政治卒)
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