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会員だより —歌代雄七—

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2026年1月
  随想130 和牛

 街中を歩いていたら、どこからともなく牛肉の香ばしい匂いが風に乗って鼻孔をくすぐってきた。正月は和食の月だろうと思いつつも、あまりにも単純だが、今夜の主菜は牛肉と決め、連れと一緒にスーパーに飛び込んだ。陳列棚には、黒毛和牛、国産牛、輸入牛肉といろいろ並んでいる。まさにオーバーに言えば、光彩奪目。
 ライトが当たるそれぞれは、わたしを選んでとばかりに輝いている。
 幾つかをチョイスし、タレ、野菜などを併せカートに入れてレジに向かう。
 ……そうだ、今月の随想テーマは「牛肉」としよう。

 扨てさて、そもそも和牛とは何だろうか。
 もともとは日本の牛は、農耕用だったが、1950年代以降に肉用として、肉質などに優れた種牛を遺伝的に選抜し、肉が霜降りになりやすいように餌を工夫してつくりあげた日本の誇るべき「逸品」だ。1960年代から雄牛の精液を冷凍して雌牛に受精させる方法が始まり現在まで続いている。また80年代、能力の高い父牛を選んで品種改良を進めてきた。更に、2016年以降は遺伝子分析も活用して、種牛を選ぶようになった。つまりそれは、黒毛和種などの4種類とそれらをかけ合わせてできた交雑種のことだ。
 一方、国産牛とは和牛とは別のグループ分けで、日本で育った牛のことだ。雌が牛乳を出すホルスタインの雄やホルスタインと和牛の交雑種を「国産牛」と表示することが多いようだ。因みに和牛には他に褐毛和種、日本短角種、無角和種がある。その和牛の触感の特徴は、食べた後に口に残る脂ぽっさがあまり残らないのが特徴だ。それは脂肪の成分が口に入れると体温でさっと溶けるからだ。
 日本で肉を供給する肉用牛の飼育頭数の95%以上が黒毛和種だ。これほど多く飼われている理由は、肉の中に脂肪がたまりやすく、肉が柔らかくなっているからだ。それは赤い筋肉の中に白い脂肪が散らばっている、所謂「霜降り」状態をいう。この霜降りは和牛、特に黒毛和牛の特徴だ。
 外国の牛は、品種改良や飼育方法の工夫で脂肪を多くしようとすると皮下脂肪までが増え、食べられる部分が少なくなる。その点、黒毛和種は霜降りを多くしても、皮下脂肪が厚くならない、世界的にも珍しい特性をもつ。 そうした中で、有名な種牛としては、兵庫県で生まれた「安福号」を岐阜県が1981年に購入して、93年に病気で死ぬまでに約4万頭の子牛を残したとされている。
 霜降りを多くするためには、たんぱく質の多い餌や稲わらなどビタミンAの少ない餌を与えるとサシが入りやすいことは研究成果として知られているが、機序はまだわかっていない。
 因みに、牛の体重は人間の約10倍、その体重を支える4本の脚が地表面に接している面積は、ヒトの大人の両足の靴裏とほぼ同じだと言われている。

 世界には、牛肉料理は多種多様だ。
 牛丼、すき焼き、牛鍋、しゃぶしゃぶ、ステーキ、ボルシチ、ローストビーフ、ビーフシチュー、ビーフストロガノフなどなどいろいろだ。
 毎日これらの料理を食していたら、心臓疾患系の罹患は間違いないだろう。
 筆者は毎日でもいいのだが、破産を覚悟せねばならぬからことから、1か月のうち牛肉料理は数回だ。
 なのに、現在、心臓疾患を患っている。家徒四壁の中で一汁一菜の日常、何故こんな不条理がまかり通るのだろうか。
 因みに、日本での死因はご案内の通りがんが1位だが、2位は先進国ではトップの心臓疾患だ。日本でも近いうちに心臓病がトップに躍り出るのは間違いない。